趣味の一つに

適当に練習しながら高校生までピアノは続けた。

最後の先生は近くに嫁いでこられた方だったので、もう代わることもなくせっせとまた通った。中学生になったので、将来の進路はどうするのか聞かれた。

ピアノのほうへ進学するつもりならそろそろ受験用に発声練習や楽典の勉強もしなければならないということだった。

大学へは行きたいけれど具体的なものがなかった私は、常々祖父に言われていた「ピアノの先生になったほうがいい」という言葉を思い出し、ピアノやります。と安易に言ってしまった。それからは、ピアノの練習量が増え楽典の教本を覚え、発声練習をやり

聴音もやらなければならなかった。ズボラで根性のない私はあえなく挫折してしまった。その後はピアノに触ることもなく過ごしたが、結婚するときは、せっかく買ってもらったピアノだからと嫁ぎ先に持参した。そして子供が生まれ慌ただしい日々。

自分でもしょーもない親だと思うけれど、自分が挫折したピアノを子供にも習わせた。

それも習っていた先生のところへ連れて行った。そして自分が少々弾けるものだから子供にきっちり練習させて、まるで最初に恐怖を覚えた先生が乗り移ったかのように、きつくヒステリックにあたった。当たり前だが子供はピアノが嫌になり途中でやめる。それでもどうにか高校生までは続けたけれど。

子供をレッスンに連れて行っていた頃、先生が、今は大人の生徒さんもおみえになるよと話してくれた。それでたまに茶話会を兼ねて、ピアノのあるカフェを借りて発表会みたいなことをしてるとのこと。あなたも弾いてたのだから参加してみたらということだった。弾いていたといっても学生時代のことなので、これはやはりレッスンしてもらうほうがいいだろうとなり、私もまた生徒になった。